fantasy:ファンタジー
悪の支配者たち -無断転載・流用は禁止です-

■サタン(Satan)■
通説ではサタンとは堕天使のリーダーシップを取るものの総称として、または悪の支配階級、あるいは種族としてのファミリーネームであるとされている。また、固有名詞説をとる進学者によればサタンとは堕天した後の名称であり、天にいたころはルシファーと呼ばれていたという。
サタンはイエスに誘惑の魔の手を差し伸べている。しかし、イエスはその強固な精神力でそれをはねのけた。
サタンの魔の手はあらゆる人間を対象としている。妖術、背教、涜神、異端といった神への冒涜行為を常に人々に唆しているのだ。

■ルシファー(Lucifer)■
■名称■
光を拡げるもの
クーデターを目論んだ織天使の指揮官
「ルカによる福音書」にイエスが語ったとされる次の言葉がある。「私は、サタンが稲妻のように天から落ちるのを見ていた」この言葉がサタンとはルシファーを示す言葉に違いないと人々に強く印象づけた。ルシファーとは「光を掲げるもの」「曙の明星」という意味をもち、天界にいる時には神から最も愛された存在だったのである。しかし、彼の傲慢が彼を天上から地獄へとおとしめた、というのである。
ルシファーの謀反について「ヨハネの黙示録」は次のように記述している。「天で戦いが起こった。ミカエルとその御使いたちが、竜に戦いを挑んだのである。竜とその使いたちも応戦したが、勝てなかった。この強大な竜、年を経た蛇、悪魔とかサタンとか呼ばれるもの、全人類を惑わすものは投げ落とされた」
ミカエルによって地獄へ鎖でつながれたサタンは1000年間は幽閉されるはずだった。しかし、さすがに悪の実力者たるところか、すぐさま地上に姿を現し神の国に反撃を企てるのである。
ルシファーの姿は神の右腕、大天使ミカエルに瓜二つと言われる。また、双子の兄弟だとも言われる。それは、神の裏側の顔を代表する堕天使として、表の顔であるミカエルと相似形であるのだ。絵画ではルシファーはミカエルの姿形をしていながら、浅黒い肌の持ち主として描かれている。天使という存在は、”霊的”なものであり、それが地上に長く留まることによって霊は化学変化を起こし、骨肉を得ると言われている。

■ベルゼブル(Beelzebul)■
■名称■
蝿の王
追放された異教の王
この名前は、異教徒カナン人の神バアル・ゼブル(Baal_Zebul)に由来するが、ヘブライ語で蔑称してバアル・ゼブブ(Baal_Zebub)つまりは、蝿の王としたもの。
ミルトンはベルゼブブをサタン(ルシファー)につぐ悪魔の指導者として失楽園でも、威厳に満ちたベルゼブブの姿を描いている。そして、地獄に一大王国を作りあげるために奮戦しているという。ベルゼブルは”悪魔の大罪”の「暴食」を促す張本人とされているが、理由の程は定かではない。

■ベリアル(Belial)■
■名称■
無価値
最も悪徳を愛した堕天使
正義や光と言った崇高な存在とは無縁であり、ベリアルはいわばキリストの大局に立つものとみなされている。この名前の語源は「無価値」を意味するヘブライ語である。
神学者によっては、ベリアルをサタンの多くの顔の一つと見なしたり、力天使の一人とし地獄の要塞”万魔殿”のもっとも堕落したデーモンであり「怠惰」そのものの権化という位置づけている。
ミルトンは、このベリアルについて”堕落した天使のうち彼ほど悪徳を受ける下卑たものはない”と言っている。
ベリアルはサタンさながらの堂々とした風貌をもち、天才的な悪の素質を備えた本格派の堕天使とされている。

■アスモデウス(Asmodeus)■
■名称■
破壊者
乙女を襲う好色魔王
もともとペルシャ語のアエシュマ・デーヴァ(Aeshma_deava:情欲の魔神)が語源と言われる。
アスモデウスは並外れた”好色”の持ち主とされている。彼はある魔術書に”乙女たちの心を離反させ、心をやせ細らせる”事を誓った悪魔だとされる。また、”不可視の術(姿を消す魔術)”や地下の宝物を捜し出す能力の持ち主とも言う。
牡牛、人間、牡羊の3つの頭をもち、ドラゴンに乗った姿で描写され、天界にいたときは織天使セラフィムの司令官の地位にいたとされる。

■マモン(Mammon)■
■名称■
貪欲のデーモン
才能を活かした地獄の金鉱採掘師
旧約聖書と新約聖書の中間時代のユダヤ教で採用された。「不正な利益」「収賄金」を意味するという。
地獄に落とされた堕天使たちが神への反撃を試みようと決意した後、すぐさま取り掛かった万魔殿の建設。マモンは、堕天使の一隊をひきつれて、黒雲を吐き出す山の山腹に穴をあけ、そこから次々と金の塊を掘り出した。さらには地中に埋まるさまざまな貴金属を手中にし、彼らの殿堂を飾り立てた。マモンの貪欲さがなせる技であった。

■レヴィアタン(Leviathan)■
■名称■
驕りの王
恐怖の”魔獣”の王
レヴィアタンまたは、リヴァイアサンと呼ばれる、海に住む強大な獣を指した名前で、その語源は不明であるが、「裂く」「曲げる」という意味があるとされている。また、「とぐろを巻いた蛇(crooked serpent)」「突き刺す蛇(piercing serpent)」と呼ばれることもある。
ヨブ記では「力強いがんじょうな顎と、歯の周囲には異常な殺気があり、背中には楯が列をなしている。その楯はそれぞれがぴっしりと重なりあい、風の入る透き間もないほどだ。この獣がクシャミをすると、両目からするどい光を放ち、口からは火炎が吹き出し、火の粉が飛び散る。鼻の穴からは煮えたぎる鍋のように煙が噴き出し、喉は燃える炭火のようだ。その顔は威嚇の表情も凄まじく、首は猛威を象徴している。しかも、身体を取りまく筋肉は幾重にも重なり、心臓は石臼のように強固だ。彼がひとたび立ち上がれば、神々ですら恐怖のあまり逃げ出してしまう。剣も槍も彼には効果が無い。鉄製の武器は藁のように思え、青銅も木切れほどの効き目しかない」と記している。また、「この地上に彼を支配するものはいない。彼はおののきを知らぬものとして作られている。驕り高ぶるものすべてを見下し、誇り高い獣すべてのうえに君臨している」としている。

■ビヒモス(Behemoth)■
■名称■
陸の魔獣
剣をも通さぬ陸の魔獣
ビヒモスまたは、ベヘモットは、陸に住む魔獣として、聖書に記録されている。名称の由来はヘブライ語の「獣」である。
後世の神学者によると、このビヒモスは象、あるいは犀の姿を借りた怪獣とされる。もともとは、豊饒のシンボルとしての神格だったと考えられている。
また、イスラムの伝承に登場するバハムト(Bahamut)に由来されるという説もある。バハムトは強大な牡牛クジャタが乗りものとする。大魚の名前。クジャタの背中に大きなルビーが置かれ、さらにその上に天使が立ち、大地を支えているという。もっともこの伝承ではバハムトは海の生物であり、陸の魔獣たるビヒモスとは合致しない。おそらく、巨大というイメージと名前の恐怖感を聖書作者が採用したのであろう。
ベヒモスには、ヒンドゥ教神話にでてくれるガネーシャ(シヴァ神の息子)と重なるイメージがある。キリスト教にとって、獣の姿をした異教の神はとりわけ忌むべき存在であるゆえ、”悪魔”のメンバーとしてサタンの系列に名を重ねたのかもしれない。



注釈
カナン
カナンとは、パレスチナと南シリアのあたりを指す言葉で、ユダヤ人にとっては「約束の地」「乳と密の流れる地」として知られていた。
威厳に満ちたベルゼブブ像
失楽園に以下のような文章がある。「ひどく荘重な面持ちで立ち上がった。その立ち上がる様子はいかにも一国を背負ってたつ柱石の趣があった。その額には、思慮深さと憂国の至情が深々と刻み込まれていた。たとえ、身は破滅という悲境に陥ったとはいえ、威厳に満ちたその顔には、まさに王者にふさわしい英知の輝きがまだ鮮やかに残っていた。彼は、賢者然として、幾多の強大無比の王国の重責を担うにふさわしい、あたかもアトラスの肩のような肩を聳やかして立っていた」
万魔殿
地獄の中心部にある悪魔たちの宮殿。数千、数万もの悪魔たちが居住する。
”貪欲の主”マモン(Mammon)と、”火と鍛治の神”と知られたムルキベル(Murkibel)により、飾り立てられた壮大な建物。屋根は美しい黄金で飾られ、入り口には銅の扉、広間の天上はアーチ型に湾曲し、無数の吊り灯火があたりを美しく照らす。
本格派の悪
「優雅で洗練されたふるまいの持ち主ベリアルが立ち上がった。天から失われたもので、彼以上に端麗な天使は他にはいなかった。産まれつき、威厳に満ち、高慢で、勇敢な行動力を誇るもののように見えていたが、それはすべて偽りの虚飾に過ぎなかった。悪徳にかけては勤勉そのものだが、善行にかけては怠惰であり、臆病であった。しかし、他人の耳をくすぐる術は見事であった」
ガネーシャ
現代インドでも非常に崇拝されている神の一人。シヴァ神の息子。財産の神、障害を取り除く神と言われている。


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