ファウスト |
そこを行く
お嬢さん。 |
一回戦イノ |
そんなに血の臭いをさせて
どこへ行きます?
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イノ |
あら、そういうあなたも
血の臭いがぷんぷん
してるわよ? |
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ファウスト |
私は、これでも
医者ですから。 |
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イノ |
へぇ、
お医者さんなんだ。
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私のあとに
ついてくる? |
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そうしたら
大もうけできるわよ? |
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ファウスト |
治療より予防が
大事ですよ。 |
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あなたのねじ曲がった
性根を治療して
さしあげましょう。 |
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イノ |
吐いてろっ! |
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イノ |
ちっ。こんなとこで
油売ってる暇
ねぇっての。 |
二回戦ジャム |
ファウスト |
……逃がしは
しませんよ。
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ジャム |
……そこの
変体袋頭! |
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ファウスト |
わたしのこと……
ですか? |
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ジャム |
アタシの店
燃やしたの
アナタアルカ? |
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ファウスト |
違いますとも。
今、人を追っているので
失礼しますよ。 |
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ジャム |
逃げるとは
怪しいアルネ。
ちょっと待つアル! |
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ネクロ |
KWOOOOOON! |
三回戦デイズィー |
ファウスト |
……お久しぶり、と
言える状況では
なさそうですね。 |
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これも、あの女の
仕業ですか。 |
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ちょっとした
荒療治に
なりますよ!
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ディズィー |
ううん……。 |
四回戦スレイヤー |
ファウスト |
もう大丈夫ですよ。
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スレイヤー |
ほう、あれを止めるのは
私の仕事と思ったが。 |
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ファウスト |
どちらさまですか? |
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スレイヤー |
こちらが
聞きたいくらいだ。 |
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ギアでなし、人でなし、
何者だね?
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ファウスト |
これでも人ですよ。
あなたこそ、ギアでなし、
人でなし、カラクリでなし。
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スレイヤー |
利害が一致したな。
君の正体確かめさせて
もらう。 |
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ファウスト |
良いですとも。
解剖学的な興味が
あります。 |
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ファウスト |
異種、ですか。
話には聞いていましたが、
素晴らしい代謝構造だ。 |
五回戦チップ |
スレイヤー |
妙な誉め方を
するな。 |
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そっちこそ
人間がそこまで
研鑚できるとはな。 |
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ファウスト |
医師が医師たらんとすれば
こうならざるを得ません。
そんなわけで、ちょいと失敬。 |
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スレイヤー |
面白い男だ……。
あれも人の未来の形の
一つなのか? |
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ファウスト |
ちょっと
そこをゆく御仁。 |
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ずいぶんと怪我を
されているようですな。 |
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チップ |
るせぇ。
俺は医者と薬が
大っきらいなんでい。 |
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ファウスト |
その瞳、その覇気。
大きな戦いに赴くつもり
でしょう。 |
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チップ |
だったら
どうした? |
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ファウスト |
その傷でゆくのは
無茶というものですよ。
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チップ |
テメェに
関係ねぇだろ。 |
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ファウスト |
そうは行きません。
時間はとらせません。
治療して差し上げましょう。 |
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チップ |
治療ってな、
その人斬りメス
使うのか? |
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ファウスト |
遺憾ながら。
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エディ |
アノ女ノ言ッタ通リダ。 |
六回戦エディ |
貴様ノヨウナ
人外コソ
我ガ殻ニフサワシイ。 |
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ファウスト |
いけない!
その病状では
絶対安静ですよ。 |
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エディ |
ソウダ!
ソノからだヲ
寄越セェェ! |
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ファウスト |
……残念です。
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ファウスト |
あなたを止めねば
なりません。 |
七回戦ソル |
イノ |
いつから医者が
正義の味方に
なったんだい? |
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ファウスト |
医師ではありません。
人として、です。 |
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死と苦痛を
撒き散らすのを
看過できません。 |
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イノ |
この袋頭の
変体白衣殺人鬼が。 |
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ファウスト |
うっ!? |
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イノ |
知ってるぜ。
テメェが笑いながら何人も何人も
切り刻んだのをなぁ。 |
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今さら
罪滅ぼしの
つもりかよっ! |
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ファウスト |
奪った命は
償えません。 |
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……だが私は
もう一度逃げる
わけにはいかないのです。 |
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イノ |
……けっ
正義面しやがって。 |
ED |
ファウスト |
しゃべってはいけない。 |
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イノ |
テメェ、今でも
本当は好きなんだろ?
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血を浴びながら
はらわた、えぐるのがよっ……。 |
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ファウスト |
今は、眠りなさい。 |
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確かに、
死と破壊の喜びは |
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未だ、この手の中に
あります。 |
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とはいえ
人は選ぶことができる。 |
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血にまみれた手でも
どこかでは必要とされている。 |
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その喜びこそが、
私には大切なのですよ。 |
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