小説
FE短編小説 -外伝-

ジーク
気持ちが不安定で、何もかもうまくいってないように感じる。
空虚感がいつも心を占めていて 微笑を作ることさえ苦痛に感じる。
「何か」が足りない 「何か」を失ってしまった。
この気持ちを埋めるものが欲しい 全てを変える何かが欲しい。
この手に全てを包み込みたいと思っても、砂粒はどんどん指の間から零れ落ちる。
手に残る砂さえ本当に自分が求めるものなのかわかりもしない。
自分だけが正しい道から外れて 当てもなく彷徨っているようだ。

孤独が「私」を食いつぶす 「私」が「私」であることを否定する。
寂しい気持ちは誰も一緒だろうに…
アルムとセリカ
・・・たとえば星
とても星の綺麗な夜だった。
でも、星の光だけの世界はとても暗くて、私は天に吸い込まれそうでとても怖かった。
自分など足元にも及ばない無限の力に本能が怯えていたのだろう。
静かに震えていた私の手をアルムが握ってきた。
暖かい手のひらに私は安堵した。この手が私をこの世界に繋ぎとめてくれる。
小さかった私はそう感じていた。
・・・たとえば海
寄せて引く波を見ていた。
まるで、俺達の運命のように引いては満ち、満ちては引く波。
二度と会えないと思ったセリカとの出会いは、運命を信じる強さを俺に与えた。
失ったと思えたものも、再び手に入れることができるのだ。
セリカとはまた道を違える。だが、何を恐れる必要があるのだろう。
俺は剣を再び握りなおした。
・・・たとえば世界
世界は無限に広がり、繋がり、満ちていく。
命は無限に広がり、繋がり、満ちていく。
俺の目の前で。私の目の前で。だから、目を閉じてはいけない。
目を閉じてしまえば、大切なものを見失ってしまう。
・・・たとえば永遠
恐れを包み込む力があることを感じた。
再び手に入れたものを守っていく喜びを感じた。
繋いだ手と手の確かさと暖かさが世界をこんなにも素晴らしく感じさせる。
永遠は自分の中にこそあるとやっと気がついた。

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