俺のパートナーはいつもの三つのものを連れてくる。
――女。――自分のダチ。
それと・・・トラブルだ。
***
子供は嫌いではない。むしろ子供の方が扱いやすくていい。しかし・・・
「お嬢ちゃん・・・諦めてパパに新しいの買ってもらいなよ」
「やだぁ!!」
目の前の『依頼人』は、もう大きな瞳にこぼれんばかりの涙をためている。
ったくカワイイ顔しやがってからに・・・
「お願い聞いてあげようよ〜、『おじ様』?」
調子のいい声の発生源をじろりと睨みつけてやった。案の定パートナー――香爆の顔は笑顔からひきつり笑顔になって冷や汗をかく。
「――この街にいったい何匹のネコがいると思ってやがる・・?」
そう、依頼というのはネコ探しである。
香爆が連れて来た小娘の『ミリーちゃん』とやらが家出して、一週間経った今も戻ってこないのだそうだ。
・・・ったく、ネコなんざ発情期が来れば何処へでも行くってのに・・・
しばらくすると香爆が口を尖らせ、
「ほっとけないじゃん?」
ときた。
「『イイ人』っぽく言うなこのフェミニストめ。お前が勝手に引き受けたんだから責任とってお前独りで探せ」
「そ、そんなぁ!!この街にいったい何匹のネコがいると――」
「俺の台詞で正論語るな!!こんなガキから依頼受けて報酬が出るってのか?後で両親に請求するとでも?それともお小遣いから払ってもらうのか、え!?」
思わず声を荒げると、お嬢ちゃんがビクリとしてついに泣き出した。
「あ、ジークが泣かした〜」
「この・・・っ」
怒鳴ってやろうとするが一段高くなった泣き声にくじかれる。
俺は―――
泣き声の洪水の中で、溜息をつくしか無かった・・・
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